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 やまざき さくら
優しさと華やかさ。回りを温かく包み込む彼女は、誰からも愛される美しさを持っています。

一見おしとやかに見えますが、実は意外とお転婆なんです…。

ヤマザクラ

 山桜 / ヤマザクラ
  落葉広葉樹 / バラ科 サクラ属
 樹高:15〜20m / 木材比重:0.60
 分布:本州〜九州

永い冬を抜けて、春を象徴するかのように咲くサクラは、私たちの季節感に深く刻まれた樹です。ヤマザクラは山野にも自生し、春の息吹を伝えてくれます。

Tree

 山桜 / ヤマザクラ
ソメイヨシノの花
一般的にサクラといえば、ソメイヨシノの名前が浮かびます。ソメイヨシノは、元々日本に自生しているオオシマザクラとエドヒガンザクラの交配種とされています。

葉が出るよりも先に花が咲くのが特徴で、樹全体が花で満開になる姿が好まれています。

木としては短命な種のようで、病害虫にも弱く、あまり大木にはなりません。
このため、ソメイヨシノは殆ど木材としては利用されてはいません。

ヤマザクラの花
山野に自生するヤマザクラは、花と葉が同時に展開するのが特徴です。花は白から薄い桃色、若葉は緑色のものから赤茶色のものまでと、個体差がかなりあるようで、開花した時の雰囲気に違いがあります。

一般的にサクラの仲間は樹木として短命なものが多いですが、ヤマザクラは長寿で、大木になる場合もあります。このため、木材としても利用されていて、とても良質な材として好まれています。

ただ、木材としての流通は少ないようです。美しい花の咲くサクラを伐ってしまうのは、心痛む事なので、特別な理由が無ければ、花を楽しむために山に残したいと思うのが日本人の感性でしょう。

サクラといえば「サクランボ」ですが、ヤマザクラにもサクランボが実ります。市販のものよりもずっと小さく、お世辞にも美味しいとは言えませんが、濃い紫に色づいた実は食す事が出来ます。

また、桜の花や葉は、組織が壊れることでクマリンという物質ができ、良い香りを発するようになります。桜餅の葉は、桜の葉を塩漬けにしたものですが、主に香りの強いオオシマザクラが使われます。

ヤマザクラも秋には赤く紅葉します。うっすらと黄色が混じる事もあります。
Material

木材

 山桜 / ヤマザクラ
ヤマザクラの樹皮表面も赴きある表情をしていますが、薄く皮をめくると、また違った表情が現れます。薄皮を剥いた直後は、驚くようなオレンジ色をしている事があります。

丁寧に剥いていくと、全体がオレンジ色の美しい素材が生まれます。この鮮やかなオレンジ色は、現場にいる人だけが体験できるもので、序所に色あせて、落ち着いた赤銅色になります。

写真左が、オレンジ色から赤銅色になった樹皮です。この樹皮も大変赴きがある表情をしています。

この赤銅色の部分を利用して工芸品にされているのが「樺細工」と呼ばれるもので、茶筒などに利用されています。

他にも和風建築の素材として床柱や天井桟などに使われ、ヤマザクラの樹皮は大変利用価値の高いものです。

このように樹皮が美しく剥けるのは、伐採時期にも大きく関わっています。また、樹皮はカミキリ虫などの幼虫が好むので、樹皮を活かそうと思う場合は、管理に注意する必要があります。
ヤマザクラは木材としても美しい素材です。辺材は淡い白で、芯材は落ち着いたピンク色をしています。散孔材なので木目は明瞭には現れませんが、目に優しく、主張しすぎない程よい木目です。強度もあり、粘りもあるので、各種用材として最適な材です。緻密な材なので、版画の版木にも使われます。

家具にも使われ、経年変化で落ち着いた茶色になります。万人に好まれる色で、ヤマザクラの家具は人気があります。

淡いピンク色の材もありますが、緑色の縞が混じった材も多く見られます。こちらは不均一な印象がありますが、塗装をして落ち着いてくると、ダイナミックな模様で面白い表情になります。
ヤマザクラの柾目面には、ブナやナラの斑(ふ)のような模様が現れる事があります。クルクルと円を描くような模様が連続する事もあり、こういった模様を見つけると楽しい気分になります。
ヤマザクラには、ピスフレックと呼ばれる虫跡が現れる事がありあす。成長過程で虫害に遭った跡で、辺材と芯材、どちらにも現れます。木材繊維と一体化しているので、穴があいたり、ボロボロと崩れるような事はなく、使用には全く問題ない印象です。

欠点には違いないのですが、小さなものなら模様として楽しむ方がいいと思います。

Craft

クラフト

 山桜 / ヤマザクラ
木の時計画像提供
広葉樹らしい重厚さがありながら、加工性も良く、緻密で粘りがあり、扱い易い木材です。素性によっては狂いを生じることもあるので、決して大人しい材とは言い切れない面もあります。

オイルフィニッシュで美しい穏やかな茶色に仕上り、高級感ある質感を見せます。樹皮も美しいので、樹皮付きの作品を作るのも楽しい素材です。

サクラという名前の響きと、材の美しさが魅力のヤマザクラ材ですが、希少な材になりつつあります。このため、木材として良く似たカバノキ科の木を「サクラ材」と称して流通している場合があり、注意が必要です。

バラ科の材では、北米産のブラックチェリー材が輸入されて家具などに使われています。ブラックチェリー材もヤマザクラ同様の高級感ある仕上りになり、好まれています。ただし、値段は高めです。

※記述は筆者の経験則によるもので、学術的な見解ではありません。  --サイトのご利用について--

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